無性に海に行きたくなる時期

一年に何度か、どうしても海に行きたくなる。
そういう気分は真夏にはやってこないので、もっぱら、海水浴シーズンを外していく。
別に泳ぎたいわけではないから、これでよいのだ(そして泳げないから、これでよいのだ)。

大抵の場合晩夏から秋口に行くのだが、この時期はレジャー感がない分、夏が去っていくせつなさを独り占めしながら海を眺めることができる。
海に入っているのはほとんどがサーファーで、浜辺を歩いているのは地元の住民ばかりだ。
犬を散歩させたり、一人分のレジャーシートを広げて読書している人もいる。

それぞれが好きな時間の過ごし方をしている分、周囲を気にする人もいない。
だから、地元の人間ではない私なんかが一人でぶらりと訪れても、何となくしっくり収まってくれる。

この頃には日差しが傾くのも早くなっているので、5時くらいには夕日に染まる水平線が美しい。
人もほとんどいなくなり、波の音しかしない。
日がすっかり沈むと、遠くの方に漁火が見えたりする。

海というのは、地球上全てにつながっているのに、不思議と国によって表情が違う。
水の透明度やら水温やら、いろいろ条件が違うので当たり前だが、それでもやはり日本の海には日本の海らしさが、物理的なものを超えた所であると思っている。
やはり育った国だからか、どうしても郷愁を感じさせるのだ。

とはいえ、私の生まれ育った地域は海に面してもいないし、住んでいるところも海が近いわけではない。
たっぷりとエセノスタルジーを感じた後、長い時間をかけて帰宅するのだ。
意外にも強い秋口の日差しに照らされた、季節はずれの日焼けに後悔しながら。

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