料理ごとに合うお酒について
肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワイン、というワインの定説が本当なのかどうか、折りに触れて検証を行っている。
両方試せる披露宴の料理や、ホテルのディナーなどでは給仕の人が合うワインを持ってきてくれる。
だから試すまでもなく端から合うに決まっているのだが、どれだけ合うのか試すにはもってこいの機会だ。
その他にも自宅で料理をしたときにも色々と試してみている。
結果、どうやら定説は限りなく事実に近いようだ。
肉のようなこってりしたものには、赤ワインのような渋みのあるものが引き締めてくれるし、魚料理のようなしつこくないさっぱりとした後味のものには、フルーティーでライトな白ワインがよく合う。
種類によって個人個人好みはあるだろうが、それにしても大枠としてはみんな納得であろう。
それにしても、同じぶどうなのに、赤と白、ここまで違いが如実にでるあたり、ワインの奥深さを感じるのである。
まだまだ勉強の余地ありである。
ただ、私はあまり白ワインが得意ではないので、最近洋食にあうお酒を、新たな分野で開拓している。
特にこれはいい、とおもったのが日本酒の大吟醸である。
大吟醸には、純米にはないフルーティーさがある。
ほとんど白ワインのようだが、より甘みが濃く、酸味が少ない。
甘みがある分、ややこってりめの洋食にもあうのだ。
赤ワインだと重い、という中間の料理にぴったりである。
ただ、酸度の高い日本酒のほうが個人的には相性がいいと思っている。
酸度が低いものではこくがありすぎる気がする。
と、こういう話をするとうっとうしがられることも多いのだが仕方がない。
将来的には、こういう検証をみんなでできる赤提灯をやってみたい、という野望を持っている。
酔うと鎌倉に行きたくなる
お酒に酔うと、きまって鎌倉に出かけたくなる。
どうして鎌倉かといえば、ただ海に行きたいから。
都心から少し行っただけで海に出られるという地域は、鎌倉を置いてほかにないと思っているからである。
ごく稀に、朝まで飲んでいるということがあるのだが、そんな朝には私は一緒に飲んでいた友人と別れるとその足で鎌倉に行くことがある。
大抵が始発電車に乗っていくのである。
まだお酒が抜け切らない、軽くぼんやりとした状態で、通勤客に混じって始発電車に乗っているのだから、定めし不貞なやからに見えるに違いない。
それは甘んじて受け入れるとして、とにかく私は始発電車で鎌倉の海にでかけていく。
朝ごはんも食べないで、ただただ電車に揺られていく。
時々まだ朦朧としているからか、行き先を間違えて茅ヶ崎におり立っていたりするのだけれど、そういう時もすぐに電車を乗りなおしてやっぱり鎌倉にいかないではすまない。
この前行ったときは初冬の、海風が肌にしみる時節だった。
私は大きめのブランケットをぐるぐる巻きに身体に巻きつけて、買ったばかりのベレー帽を被ってかの地におり立った。
肌寒さと、朝の暗さで少しさもしい気分になったが、とにかく一路海を目指すのである。
途中消防署を通り過ぎたのだが、朝早くから体操をしていたそこの署員たちに、なにか不審なものを見るような目で見られたのにはかなわなかった。
考えてもみれば、冬の朝一に、変なベレー帽を被った女が海に向かって一目散に歩いていれば不審に思うに違いないのだが、その時の私にとってみればいらぬ気遣いに違いなかった。
とにかく、海にいければそれでよかったのである。
着いてみた海は、緑がかった灰色の波が、ごうごうと荒っぽく浜に寄せてくるまさに冬の海だった。
やっぱり夏とは違う、剥きだしの海、という感じだったのを覚えている。
私もいつかは、海に還る日が来るのだろうか。
なんてアルコールの残滓によってセンチメンタルなことを考えながら、特に行くところもなく、空いている店もなく、30分ほどふらふらしてからすぐに帰ってきた。
結局、何しに行ったのだろうという強い疑念が残りながらも、きっとまた行くだろうと確信したのである。
食肉卸の精肉仕入れ相談はコチラで
仕入れ相談のほかに他の精肉専門店には無い飲食店オーナーになる方へ新規開店支援サービス実施中
meat-kimura.co.jp/